DJが自分のホームグラウンドでどういうお客さんでどういう雰囲気を出してるかが重要
まずご出身を聞かせてください。
岐阜県大垣市で生まれて高校3年からは名古屋のあたりでDJを始めて、1年名古屋で仕事した後に東京に出てきました。
その頃からDJをされてたのですね。
予備校生の時にDJの仕事が忙しくなりました。東京の専門学校にいったけど、DJがよけい忙しくなって。
どんな学校だったのですか?
ファッションデザインスクール。そのときの友達がDJもやってたりしたけど、今は洋服屋さんをやってます。友達みんなが同じ学校ではなかったけど、みんなファッションを好きで、僕も作るのを勉強してて友達の服を縫ってあげたりしてた。けど、逆に友達の方が洋服屋になって僕がDJになっちゃった。
昔はおしゃれの一環としてDJも音楽も好きというのが普通だった。ファッションも好きだけど音楽も好きみたいな。でも、今はバラバラになっちゃいましたね。昔、ヒップホップにはこういうファッションが合う、ってのがあったじゃないですか。今は、ヒップホップファッションはしてるんだけど、違う音楽を聞いてる、みたいな。ごちゃごちゃになってますね。
音楽とファッションとのつながりは重要だと思う。今もそういうのは少しずつ意識するようにしてます。
だからKOさんにはファッションブランドの方々のサポートが多いのですね。
STUSSYは、日本にまだ直営店がない時から着ていたので、それでスポンサードしてくれていて、ナイキは前に仕事をしたところからで、あとは、原宿の洋服屋さんとかね。洋服屋さんを始める前から仲間なので、「作ったからあげるよ」とか。
そうでしたか。それにしても、一度バラバラになってしまうと、またつながりを取り戻すのは難しそうですね。
こういう服を着て、こういうところにいくといい、というのがないですね。実際は洋服を買っても着て行って見せるところもないから、着れるところがあったらいいな、って思いますね。
そういう意味でUSとかUKはハッキリしてますもんね。
うん、面白いと思う。そっちの方が。日本では、あまりに(1つの事に)こだわりすぎて他の方に(関心が)いかないというか。人生全体を遊べばいいのに、ものを集める作業が多い気がしますね。
確かにそうですね。さびしいですね。
そればっかりでそれを見せる場所とか考えてない。「金で遊ぶ」っていうか。
ホカ弁食べてて10万円の服を買うんだったら、まぁまぁかっこいい服を着ておいしいものも食べたらバランス取れるじゃないですか。ベンツ乗りながらアパートに住んでる人みたいな、そういう感覚がありますね。
バランスでもっと人生楽しむようにしたらいいんじゃないですかね?
本当にそう思います。
ところで、話は変わりますが、音楽を聴くようになったのはいつごろでしょうか?
小学校の頃、映画音楽を集めてました。その後BGM系、喜太郎、NEW WAVE、UKポップっぽいものも聞き、だんだんとNew WaveからDJ文化になってきたので、初期のHIP HOPで仕事しだしたんですけど、お客さんは当時ユーロビートを聞いてた。ユーロポップハウスみたいな。世の中ではヒップホップをあまり聞いていなかったしまずいだろうと思っていたら、ハウスが始まってて、これだったら僕、NEW WAVEあがりだし、みんなユーロビートとまざって一緒に踊ってくれるしいいね、って思って。
知り合いがNYにいて、ヒップホップのレコードを買って来てって頼んだら、買ってきてくれたのはいいんだけど、「NYではヒップホップって歌謡曲だよ、クラブではハウスしかかかってないよ」って事を言われた。それで僕もNYに行って見て、「あ、本当だ」って言ってるうちに、ハウスに影響されたって感じですね。
ヒップポップをかけていたのはいつですか?
80年代前半から85年までがヒップホップ 87、8年からもうハウスですね。
KOさんは、いろんな音楽を通ってきたのですね。
「スタイル」というものがあるとすれば、どんなことでしょうか?
昔はNYガラージとかいろいろありましたけど、今はジャンルって関係なくなってます。ゴアトランスでもかっこよければかけるし、USガラージでも今の時代に合うものだったらかけられる。
USもののGARAGEまでいかないけど、US系ハウスからゴアトランスっぽいまで映えるときは映えますからね、基本的には長時間プレイを考えているので、そういうのをかけないと間が持たないというか。自分のやりたい表現方法があって、それに合う曲をかけているんですね。
だから僕はプログレッシブハウスしかかけないって事はなくて、混ざる感じですよね。それが自分流です。誰の影響も受けず、真似してるわけではなく。みんなと違って当たり前みたいな。
そういう意味でお客さんもKOさんにそれを期待しているんですね。
そうですね。DJの方法としてはUSのDJの方法に影響受けてる。最初から最後まで自分でドラマを作るというかね。料理のフルコースと同じで、前菜からメインディッシュまで、最後のアンコールっていうと、デザートね。音楽のフルコースって感じです。
USのDJっていうと、例えば?
フランキー・ナックルズ、ジュニア・ヴァスケス・ダニー・テナグリアとか。そういうUSのDJ文化全体が8時間、11時間やるとかで、最後はガラージクラシックスでまとめに入るみたいなね。日本ではそういう歴史がないから、日本ではそうするわけではなく、自分の中で雰囲気が良くなるようにやってます。
今年のマイアミミュージックコンファレンスでも長時間プレイをするDJがたくさんいましたけど、どうでしたか?
あ、僕、全然聞いてない!(笑)夜、全然出ないんですよ。別に見なくていい、ってのがちょっとあって。マイアミ行ったのはBEDROCKで写真を写さないといけないって事で呼ばれていっただけで。全然行かなかった!(笑)「僕は海が目的」みたいなね。みんなが夜いくんなら俺は昼間出てやる、みたいな。(笑)逆に、意地じゃないけど、俺は行かないでいてやるよ、日焼けが出来てよかったな、みたいな。
現場のほうが好きなので、誰かが日本に来てDJしても、それは日本っぽくなるからあんまり面白くない。それよりDJが現場で自分のホームグラウンドでどういうお客さんでどういう雰囲気を出してるかが重要なんです。それをパッと見て、あ、こういうお客さんでこういうきれいな音楽が流れているとこういう風になるんだ、というのが重要ですね。それを見て、じゃ自分のお客さんのときにああいう雰囲気にするにはどうすればいいんだろう、ってね。そのためにはこういうレコードを揃える。人のチャートとか見ないし、MIXCDも聞かないし。現場、例えばロンドンやNYに行って、こういう客層でこういう雰囲気が出てるんだな、ってのは見ますけど。
曲は真似すると真似になるし、それよりも、こういう雰囲気のときはこれがいいから、こういうゲイのお客さんが集まったときにはこれを掛けようと思ったり。あとはレコード屋さんにいって自分で調べる。
「絵」としてクラブを見ている、というか、「空間」を見てるんですね。
そうですね。うん。空気を感じるという形ですね。例えばマイアミとか、日本のパーティーは違うじゃないですか。
作られた感じ、ですか?
そう、そんなに勉強になるということもないから別にいいや、と思う。自分のところに届けてもらってるレコードと、買いに行くレコードが全て。あとは流行などの情報は遮断しようとしているんです。逆に、ジュニアバスケスがパワープレイしてるらしいよ、とかフランキーナックルズやJohn Digweedがかけてる、とか言われると、僕は性格上、そのレコードをかけなくなってくるから。せっかくいい曲なのにも関わらず。だから情報を遮断してるんですね。普通のDJやDJになりたい人は、誰がかけてたかがすごい重要だけど、ある程度プロになってくると、関係なくなってきて、逆に、真似してるっていわれるとイヤだなと思うし。なるべく耳に入れないようにしてる。
印象的ですね。「空気」とか、「人」ということを他のDJの方々から案外聞くこともなかったので。
すごく面白いですね。
ええ、空気。
たとえばある音楽がかかってる中で上半身裸のお兄さん方が踊ってるのを見て、こういう音楽はこういう雰囲気にはまってくるのかってわかりますよね。勉強になります。
UKなんかだとプログレッシブハウスってどういうのかというと、ドラッグでアッパーになった普通のかわいいおねえちゃんたちが一般人と一緒に踊ってるみたいなね。もっと普通の人はUKガラージとか、ちょっとポップなボーカルが入ってるものとか、フィールドハウスみたいなので踊ってたりとか。
ああ、こういう感じなのかみたいのを見る。それで、じゃぁ、自分はどういう雰囲気を作ろうか、とか、日本ではどうやって表現して、どうやってあの雰囲気を作ろうか、とか、こういう曲だとはまるだろう、とか思い浮かべたりね。
頭に浮かんでいるからそれに合う曲をレコード屋で探していけばいいんです。
そういう意味では今気になってるアーティストとかレーベルで選んでるわけではないんですね。
そうですね。好きなアーティストでもダメだったらダメだし。昔って例えばホイットニーヒューストンがアルバムを出したら、みんな頭から最後まで聞くじゃないですか。でも、僕は1曲しか好きな曲なかったら、それ以外聴かないから。レーベルは買うときの指標にはなるけど、全部買うかって言うとそんなことない。有名DJがやってるからって買う事もない。
そういう意味では、そんなにまねをしなくて良くなった、というか影響を受けなくなてよくなった。楽ですよね。
「どういうジャンルなんですか?」って時に、自分の中ではこういう雰囲気だってまとまってるんですけど、「ジャンル的にはゴアトランスじゃん」って言われたら、「あ、そうなの」って感じ。「でも自分の中では全部つながってるんだよね」って。
例えば人から聞かれてしまったときってのはどう答えますか?
「BPM130から133ぐらい中心のダンスミュージック全般」って答えますね。(笑)
なるほど!(笑)
なるべく空間に映えるとか、クラブで聴いてこそ楽しい音楽を、みたいな。家で聴いてもいいものはそれでもいいけど、ナイトクラブで聞かないと音がクリアに聞こえたり、いい音楽ってのをなるべくやってみたい。
わかりやすいです。
まぁなんでもいいんですよね。「ハウスミュージックを中心とした」・・・みたいな。(笑)
直球のプログレッシブハウスやってるかっていうとやってないし、直球のハードハウスって事もないし。昨日フジロックに行きましたけど、お客さんがロックのお客さんが多かったから、ちょっとアグレッシブなDJにしてみたり、コアなお客さんならDEEPにしたり。お客さんによりますね。
現場主義っていうか。 現場でお客さんが反応してくれるのは楽しいのでそれを中心に。
今回はMIX CDがBedrockから出て、さらにKO:HEAR:ENCYを出してますね。
逆に地味な印象があったからね、プログレッシブハウス。それをどうやって自分風にするかっていうので。特に同じ音源を渡されて3人でやってみて、DJによってこんなに違うんだよ、ってのは面白いですし。僕風にやってみて、「BEDROCKなのになんでこんな風になっちゃうの!」というのが重要ですね。普通の人がBEDROCKって言ったら、これ誰がやったのかわからないってなっちゃうけど。自分で個性を持ってやっていったら、ある程度面白くなる。
臨場感がありました。
そう、ナイトクラブで聞いてるっぽくしたい、ってのはそう。最近のMIX CDって、勉強っぽいのが多くなってて、知らない曲の自慢大会みたいで。たいしたことないけど、まだレコードが出てないからアルバムに入ってる、みたいな。1曲1曲がどうでもいいっていうか、1枚としてみたらなんとなく色はあるかもしれないけど、あれ?って思ってたら終わるCDが多いので。洋服屋でかけたり、聞かないときにBGMとしてかけるならいいけど、感じるときにかけるCDには何かほしいですね。
車でドライブするから、このCDは中盤ぐらいがいいかなとかね。始めからワンワンワン、ドンドンって言ってる間に終わってて「僕はインテリだよ」って言ってて終わってるっていうか、そういうのはつまらないので、そうならないように現場のDJが感じられるようなCDにしてみました。かつ、僕の味が出るように。
逆に今度の新しいCDは自分の好きな事やってるからいけいけっぽい印象あるし。あがる曲もあるけど、地味なものも入ってて、最近はこういうのかけてるよ、って事もね。
作曲もしてますね。今後も?
趣味が長いのが多いので、上がったり下がったりしてる。レコード買い始めて20数年になるし、ラジコンカーは知らせても20何年、オートバイは知らせても15年になる。盛り上がりに波があって。この何年間かはオートバイやってたので、余計に作曲活動がおろそかになってきて。DJはやってて楽しいんですけど、作曲はずっとこもってるとなると、他の事したいな、ってなるんで。
目の前にすっごい面白い事があるのになんで地味な事を乗り切ろうか、って。
これからは作曲が旬ですね?
ある程度オートバイがひとだんらくしたので、次は作曲活動も楽しそうだな、みたいな。(笑)
やっぱり「楽しそうだな」、から入るのですね。全部ご自分で作るのですか?
そうそう。自分でやらなきゃいけないのでよけい面倒くさいんですね。
わー。人に頼む方も多いですよね。
うん、UKの人とかはスタジオにいって「こんな感じ」って言ってる間に出来ちゃうって事は多いけど、日本ではエンジニアっていい人がいなくて、曲をつくろうとすると自分でやらないといけない。シンセサイザーから何から勉強しないといけない。ある程度自分でそろえてやってるんだけど一人でやってると煮詰まってくるし、自分のアイデアしかないし、音楽的教育を受けたわけではないからコードとか細かい事もわからない。キーボードの人は、クラシックはわかるけどジャズのコードはわかるけど、ある程度作れる曲に限界があるので。
いろいろ若い子が曲を作ってきてくれるから、そういうのをどんどん出していきたい。レーベルは自分のレーベルで10何枚出してるんで、それをもっと来年は強力にしたいですね。
「どんどん作った曲をFUTICに送ってください」、って事ですね?
それはどんどん明記してください。そうすると、どんどんリリースできるしね。
9月からそういう作った曲を発表できる場がないので作ろうとしてます。毎月第2木曜に代官山AIRで音楽業界パーティーのようなのを開こうとしていて。新曲とか作ってきたのをかけられたり出来る環境にしたい。そういう人が集まりつつね。週末はDJも仕事してるし。逆に、平日はどこにもいくとこないし、みんなで集まりましょう、みたいな親睦会PARTYをね。誰でも入れるようにと考えてます。音楽・出版業界の人はタダでいれてあげて。レコード出したい人とか普通の人とかナイトクラブに関わっていきたい人とか、料金も1000円でNO Drinkとかで業界の人と混ざれるような。最新の音楽とか、実験音楽をかけれるような。お客さんの事を気にしてDJしてると、変な音楽をかけれなくなるし、ちょっとBreakbeatsをかけたかったけど、雰囲気を見るとかけられないって事ありますよね。そういうのも出来るような新しいパーティ−が出来たらなってね。
KOさんが主催?
FUTICとしてね。
楽しみにしてます。
適当に一緒にだらだら集まってるのもいいじゃないですか。「最近何やってる、忙しい?」みたいなね。テクノなDJの人も着てもらえるとかね、全体が集まって、いろいろやれれば楽しいですね。違うことがやりたい時に新しい違うことが出来るから。TSUYOSHI君がプログレッシブハウスかけ始めて、みんなが「違う」とか言い出すってことがあったりするけど、そういうのは違うところでそういうのが出来ればいいから。「ゴアトランスかけなくなってきた、違うよ」って言うより、新しいステップになってるっていうか。
楽しいですよね。活気が出てくるし。
日常やってるのが水商売なら、例えば、どこかの店のDJをしてる人だと、あそこの店のやつだから、とかって言われるかもしれないけど、ミュージシャン関係としてなら意見が合えば動けるから、そういうのがいいですね。DJ一緒にやってもいいし。
いつの予定ですか?
9月第2木曜からです。朝までやってる。木曜日は行くところがないから、フラフラしにくるとか、のぞいてみたい、とか、寂しさを紛らわしてもいいし。
今後のスケジュールを教えてください
10月11月に中国にも行くし、ドイツもいきます。海外にちょろちょろいくのでね。Singaporeも結構いいし、香港もいいし。マレーシアもいいし。日本よりも解放的、日本よりもヨーロッパよりです。日本って閉鎖的なところがある。海外は面白ければいいやってのがあって熱狂的に踊ってくれる人が多いから面白いです。アジアのDJも好きですよ。向こうのDJは日本のDJを気にしてくれてチェックしてもらってます。でも、普通の人は日本のDJを知らないじゃないですか。でもとりあえず行ってDJしてみたら、僕の事知らなくても踊ってくれて。実力試しみたいな感じがしていいですね。
今回行かれるジャカルタってどうでしょうね?
僕始めてなんですよ。ZOUK(シンガポール)はちょっと社交が入りますけど、ああいうような客層なんでしょうね。これからは中国も楽しくなってきますでしょうね。
中国でプレイするDJの方もだんだんと多くなってきましたね。
今までは、「中国にいる外人、イギリス人」を相手にしたクラブが上海とか北京にある、ってのが多くて、それはそんなに大きくない店で、「ここ中国なの?」って感じの外人比率で、まぁガスパニックでDJしている、みたいな。(笑)
今は、本当に中国人を相手にしてるクラブが増えてきたのでそれが面白いですね。
とりあえず中国は発展途上なので、(お客さんのPartyへの要求も)「なんとなく上がればいいや」みたいな。DJの味を楽しむために最後までいようってのはなくて、もう1時だから帰ろう、みたいなのがあってDJをそんなに気にしてはいない、というところがありますけど、面白いっちゃ面白いよね。終わりが近いから上げようかと思ってプレイしてたらお客さんがどんどん帰っていって失敗したかな、と思ったら「普通12時すぎたら帰るもんなんだよ」っていわれて。2回目ぐらいから大体そういうの分かったから、慣れてきました。
面白いですね。
中国にいる中国の人との仕事もし始めると面白いかもしれないですね。
今後要注目ですね。
アジアも調子よくなってきてるし。日本よりも変なUS文化よりもヨーロッパに近いですね。
英語はなせる率が高いから、もっとコミュニケーションが深いですね。実際有名DJでもアジアツアーしてても日本にこない人多いじゃないですか。シンガポール、香港、タイでプレイして帰っちゃう。上海いっても日本は飛ばされるみたいなね。
そういうオーガナイザーと一緒にやれればいいですよね。ついでに日本にも来るように、みたいな。
ヨーロッパの文化は日本と近いっていうかね。日本って2,3年前までUSって言ってたけどね。今ヨーロッパって言い始めて、遅れてる気がする。
次回は、KOさんには世界の話を必ずもっと聞きたいです。
ぜひ。
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